効果を追求したボイストレーニング

スイングの全過程にわたって意識的に力を込めていくことは、クラブの運動のスピードにブレーキをかけることになる。 ダウンスイングの初めには意識した加速が必要であるが、ダウンスイングが始まってしまうと、意識した運動の速度では追いつかなくなるほどにクラブの運動は速くなる。
そうなったら、クラブの運動で腕を引っ張っていってもらわなければならなくなる。 腕がクラブの運動に逆らわないためには、リラックスした状態に腕を保っておかなければならない。

ゴルファーを正面から見た場合、スイングを時計にたとえるならば9時から5時ぐらいの間は、特にリラックスした状態が必要なように思われるのである。 運動を意識して力を入れれば、運動のスピードも上昇すると考えるのは直感的な反応であろう。
人の運動は意識がついていくよりも速く実行されることもあるのである。 ギターの演奏で細かなトレモロを弾く場合や、ブレストという速いテンポの楽譜で16分音符で書かれた小節を弾くときなど、1つひとつの音符を意識しながらでは音楽は滑らかに響いてこない。
幾つかの音符をひとまとめにしてイメージして、あとは指にまかせるという気持ちにならないといけない。 なぜなのだろうか? よく習得されたスピードの速い運動は、人の意識下で実行されているのである。
脳でイメージされ計画された運動の設計図は、直接筋肉に伝達され、運動として実行される。 その間、人の意識はその成り行きのすべてをキャッチできるわけではない。
部分的に、時にはゆがんだ形でしか運動の実行のプロセスは意識に上ってこない。 人の意識がそのプロセスに介入できる程度も制限されているのである。

この問題は現在の心理学でも十分には解明されてはいないのだが、スピードの速い運動がわれわれの意識の外で遂行され、意識的にコントロールしようとすると、スピードが鈍り、正確性も損なわれるということだけははっきりしている。 「じゃあ、リラックスして無心でやればいいわけだと、結論は簡単に出る。
ところが「リラックスしよう」「無心でいよう」という気持ちは、逆に意識過剰に陥ってしまう。 その結果、滑らかな運動の実行の妨げになってしまうのである。
本当にリラックスした、無心になる訓練をしたスポーツ選手は別にして、一般のゴルファーは無心になろうなどと高望みな努力をしてはいけない。

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